古楽器で歌う初期バロックの名曲

Giulioの宝石箱

 ジューリオの宝石箱へご来場くださいました皆様、誠にありがとうございました。最後には牧野先生にも無事に歌っていただくことができ、感動の中終演することができました。当日まで歌えるかわからないからとプログラムには載せずにいましたが、先生が歌われた曲はモンテヴェルディ作曲「オルフェオ」よりTu se' morta、ペーリ作曲「エウリディーチェ」よりGioite al canto mioの2曲でした。牧野先生もまだまだ話し足りないご様子、先生曰く今回取り上げた曲目以外にもバロックにはまだまだ現代符に書き起こされていない名曲がザクザク隠れているそうです。これからもジューリオはバロックの宝物を発掘していけたらと思っております。


ジューリオの宝石箱

古楽器で歌うイタリア初期バロックの名曲

2023年11月18日(土)14:00開演(13:30開場)

武蔵野スイングホール

(JR中央線武蔵境駅北口徒歩3分)

全席自由:3,000円

 

当日受付にて現金精算となります。



コラボ企画「さとえりの話においでよ!」

10月26日(木)18:00〜

再登場 バリトン牧野正人さん

イタリア初期バロックとの出会い♪

 

コンサートだけでは伝えきれないバロックの魅力、発声の秘密に迫ります。

ぜひこちらの配信(アーカイブあり)をご覧いただいてからご来場いただけますと、よりバロックの楽しさ魅力が味わえます。お楽しみに!



「ジューリオ」開催に寄せて  監修:牧野正人

大学卒業後、週に二日勤務すれば何某かの給料が貰えるという事で、母校の音楽研究所の研究員の職についた。

勤めてみれば、研究とはこんなものかと失望するほど、朝から晩まで、膨大な量の楽譜の整理と、何が書いてあるのか分からない様な古いファクシミリ譜を、手書きで書き起こす作業に明け暮れた。

バロック音楽が嫌いになりそうだったが、難解な楽譜も目を凝らして見続けると、色々と見えてくるものがある。

実際に音を出してみようと、最初に取り組んだのがジュリオ・カッチーニ(Caccini, Giulio

1550〜1618)の歌曲集「新音楽」(Le Nuove

 Musiche 1601)だった。

その頃はまだ殆ど音源や資料も少なく、手探りでの試演だったが、中々手強かった。

「詩を朗読する様に」歌うことや、沢山の細かい音が連なったメリスマ音形を、どうやったら正確に歌えるのか、まったく見当も付かなかった。

喉を開けて息を沢山吐く、空間を感じて響きを作る、腹筋に緊張感を持って力強く押し出す・・この様な歌い方では、いつまで経っても歌える様にはならない。

バロックが自分にもたらしたもの、それは何かと言えば、古楽専門の歌手になる道でも無く、その時代のレパートリーを作る事でも無かった。

何故ならそもそもバロック時代には、まだバリトンという声種は生まれていないからだ。

イタリア初期バロックを勉強した結果、私はドニゼッティやロッシーニ、そしてヴェルディが自分の思う様に自在に歌える様になった。

これまで藤原歌劇団の公演において、数々のオペラに出演してきたが、それらの舞台で自分を支えてきた発声法、歌唱法は間違いなく、このイタリア初期バロックの理論や考え方によるものだ。

 

この度、日本オペラ振興会主催のバロック研究会がきっかけとなって、有志によるコンサート「ジューリオ」開催の運びとなった。

私がこのコンサートを監修する目的は、出演者の中から古楽演奏の専門家を育てる事では無い。

声楽家の最大の関心事である「発声法」に真正面から向き合い、自身の歌唱技術を少しでも向上させる為、イタリア声楽曲の原点とも言える、このカッチーニの「新音楽」をとりあげる。

 

今宵はチェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバの美しい響きに乗せて、語る様に歌う古の名曲たちが、四百年の時を超えて再現されることだろう。


Giulio結成に寄せて  企画:小松原利枝

2007年藤原歌劇団、日本オペラ協会の中に初めてできた研究会、それが牧野正人さんを講師に迎えたバロック研究会でした。牧野さんといえば藤原歌劇団のプリモバリトンとして数々の名演がありますが、実はバロック音楽の研究者でもあります。入団したばかりの私はとにかく勉強する場が欲しくてこの研究会に参加しました。

バロックのそのなんとも言えない自由さ、「そこの装飾音好きに自分のセンスでつくっていいんだよ!」の牧野さんのお言葉に、「ジャズみたい!古いのになんて新しい音楽なんだ!」と衝撃を受けたのを覚えています。そしていつの間にか研究会のアシスタントをする事になり、気が付けば16年。

 

バロックの魅力に取り憑かれながらもなかなかこの古楽器で歌うという機会は研究会の時にしかありませんでした。いつかちゃんとしたコンサートで歌いたい。そして研究会の時に先生がお話する発声のこと。参加した人が必ず言う「発声についても目から鱗でした!」その秘密もぜひ多くの方に知っていただきたい。

その想いを実現すべく第一回目から一緒に研究会に参加していた佐藤恵利さんにご協力をお願いし、今回の「さとえりの話においでよ」とのコラボ企画となりました。

そしてせっかくチェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバもお願いするのならこのチャンスをもっとたくさんのみなさまと共有したい。憧れの先輩方にお声をかけさせていただき、この度Giulio結成となりました。オペラの原点である初期バロックの音楽は、現代においても色褪せることなく輝きを放っています。

 

この魅力を少しでもお客様に、そして歌い手の仲間にも知っていただけたら。いつかはバロックオペラの上演を‼︎と大きな野望を抱きつつ、古楽器で歌いたい皆様とこれからもこのGiulioを広げて行けたらと考えております。